去る2月9日(土)シティーギャラリーコアホールで「高崎の森」「シュコーラ・ピアニーナ」合同発表会がありました。
今回は日取りの決定や準備がややドタバタになり、生徒たちもそれに間に合わせるため練習が大変になったり、中には急きょ曲目を変更したり・・・・と色々なことがあり、先生としても反省しています。
ですが、今はやはり頑張って開催してよかった…と思っています。
中にはクリスマスの後に新しい曲をはじめた生徒もおりましたが、みんな本当によく頑張ってくれました。
小さい人は小さいなりに、精一杯練習してくれたし、当日のみんなの顔には緊張の中にも舞台で弾ける喜びが満ちていたし、弾き終わった後の達成感も満足感も、頑張って乗り越えたひとにしか味わうことのできないものです。
いくつかのエピソードを・・・
エピソード①
いつもピアノ大好きで楽しくレッスンに見えているМちゃん、前回の勉強会の時に小さなミスをしてしまったことがトラウマになって、発表会が近づいてきたらだんだん暗い顔に・・・
最後のレッスンの時におずおずと私に差し出したものは、かわいい封筒にはいったお手紙でした。
内容は「ピアノは大好きだけど、発表会には出ません。先生、ごめんなさい。」というもの。
{じゃあとりあえず弾いてみようよ。」と弾かせてみると、暗記でピカピカに弾けているのです。
沢山沢山練習したんだよね。それが伝わってきて目頭が熱くなる私・・・
でも怖いんだよね。
「その気持ち、とてもよくわかるよ。後半で弾く高校生たちだって、みんな同じ気持ちなんだよ。先生たちだっていつも本番の前は逃げ出したくなることもあるの。
でもね、もしほんとうに一生懸命精一杯練習してあれば、頑張って弾き始めればきっと弾いているうちに集中してきてうまくいくと思うし、もし小さなミスをしてしまったとしてもそんなことは問題じゃないの。とってもきれいな音で弾けているし、Мちゃんの気持ちは必ず聴いている人の心に伝わるんだよ。」・・・・と必死で説得する私。
しばらく(20分ほどでしょうか?)は話し合いが続きました。
そしてついに彼女のほうから妥協案が・・・
「じゃあ先生、譜面を置いて弾いてもいいですか?」
「今弾いたら暗記でピカピカに弾けたから先生は大丈夫だと思うんだけれど、でもМちゃんがそれでとても安心するならおまじないのつもりで置いてもいいよ。」
そしておまじないを置いて弾いた結果はいい音で最後までノーミスで弾けたМちゃん
勇気をもって挑戦して本当によかった。もし今回、じゃあ出ないでいいよ・・・ということになっていたら、逃げてしまったら、これはきっと一生の心の傷として残ってしまったに違いない。
譜面を置いて弾いたけれどそれがなに?
大体クララ・シューマンなんていうピアニストが大昔暗記で弾いて見せたのが始まりでピアニストだけが「暗記で弾かなければならない」世の中になってしまって不公平極まりない。・・・と時々先生も思っています。
暗記で弾くことはそれなりに意味のあることだけれど、一番大切なことは精一杯練習して心から楽しんで弾けているかだよ。Мちゃんの音はとてもきれいだったよ。次回はさらに楽しく弾けると思うな。もしかしたらその時は暗記で弾けちゃうかもしれないし、暗記が得意になるにはどうしたらいいかをぜひこれから勉強しましようね。
種井